「仕事を通しての学び」
去る10月25日に交野高等学校の体育館におきまして、交野高等学校同窓会「桜美会」主催の教育講演会を行いました。
今回、講演をしていただいたのは、交野高等学校の第7期生で、現在香里丘有恵会病院で手術室の看護師をされている芝池睦美さんです。
芝池さんは、交野高校を卒業して看護の専門学校に入学され、それ以来、今日まで一貫して医療看護の最前線でお仕事されておられます。
交野高校には、毎年多くの看護希望の生徒さんがいます。また、女性がどのように社会の中で働いているのか、そういう実態について興味を持っている生徒さんも非常に多いようです。そういう生徒さんたちにとって、今回の芝池さんの講演は大変興味深いのでなかったでしょうか。
芝池さんは、まず我が国の医療を取り巻く状況、いまや国難とも言われている少子化問題についてお話をされました。
現在の少子化状態は、分かりやすく言うと、わずかな働き手によって多数の高齢者を支えていくという状況を指します。その状況の中で、どのように医療行政を行うべきか、また行われるべきかについて、生徒さんたちに向けて分かり易くお話しをされました。
これを聞いていた私にとっても、少子化問題が大事件であることを知識としては知っておりましたが、医療現場からの視点でそれを見ると、その深刻さ、また医療現場で仕事をされる方々の責任の重さというものをひしひしと感じることができました。また、地域包括ケアシステムという考え方が非常に大切であるということも分かりました。
その話のあと、芝池さんは、自分がなぜ看護師を志したのかについて語られました。
助産婦をされていたおばあさまの影響が強かったということでした。そして実際の志望校決めるとき、交野高校の当時の担任の越智先生が、いろいろと尽力をしてくださり、そして合格の報告をいっしょに喜んでくださった、そんなことを懐かしそうに話してくださいました。
芝池さんは、さらに実際の手術室での仕事内容、そして病院というものは単に医者と看護師だけでできているのではなく、それを支える様々な職種、例えば、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、そして事務の方々など、さまざまな人たちによって病院は成り立っていることなど、解りやすく説明して下さいました。
特に、芝池さんが勤務されておられる手術室での仕事は、治療をチームで行うことが大切であることを強調されました。
手術や治療方法の勉強だけではなく、チーム全体として確実に早く手術を行うということ、そして大変な時でも落ち着いて仕事をする正しい判断することが、手術の現場では大切であること語ってくださいました。
また、女子生徒に向けて、女性が子育てをしながら仕事をすることの意味についてのお話もありました。そして、医療業務に携わることのやりがいや良かったと思うこと、具体的には人のために働くということ全般へのやりがいについても解りやすく話してくださいました。
また看護師という仕事の特徴についても語られました。
具体的には、看護師という仕事は、資格を取れば、例えば結婚などで引っ越しをした場合や子育てに専念したあとの復職希望でも常に雇用先があり、それなりの収入を取れることなど、資格上の利点についても話してくださいました。
最後に、看護師なるための心構えについての話がありました。なぜ看護師なりたいのかという動機の大切さについてでした。
また、人の世話をするためには、自分のことは自分でできるようしておくことが大切であることも語られました。例えば、身の回りを片付けることや家事の手伝いということも、ちゃんとできるようになることです。
そして、進路などで迷ったときには、前に進むということ。そういう姿勢で生きていくことが大切ということをお話しされました。
また、看護師の仕事上の特徴として、人の命を預かる仕事なので自分の抱えているストレスというものをコントロールせねばならないし、コントロールする力を身につけることが大切だということもお話しされました。
そして、看護師という職業を通じて学んだことを実際に自分の子育てで役立てたことも話してくださいました。
生徒たちは、熱心に芝池さんの話を最後まで興味を持って聞いていました。
私自身も高齢の両親を抱えており、日々看護師さんをはじめ医療関係の方々にお世話になっています。また、身内を急な病気で救急車で病院に搬送していただいた経験もあります。そういった時に、日本の医療行政、そして医療現場で働く様々な方々のご尽力に頭を下げたい気持ちになったことは多々あります。
きっと若い交野高校の生徒たちも、医療現場で毎日働いておられる方の話を聞き、心に残ることが多かったのではないか、そして学ぶことが多かったのではないかと思っております。最後なりましたが、このような講演を快諾してくださいました芝池さんに心よりお礼申し上げます。